富士見(ふじみ野地域)の気象2011 2011/4/30更新

最初に作成した2005年版の「富士見の気象」で、『平均気温がだんだんと高くなっているように見える当地』と表現しました。当地でも気温の上昇傾向が見られましたが、最近は上昇度合は緩やかになっているように見えます。
今回の2年ぶりの更新となりますが、統計ふじみにある富士見市の気象(資料:入間東部地区消防組合:観測地組合本部)の2010年までのデータを入れて考察してみることにします。

他地域(埼玉南部3地点)のデータとあわせて、簡単な分析をしてみました。

富士見市の気象統計、近隣地域の平均気温推移

富士見(ふじみ野地域)の平均気温は、平成9(1997)年に15.7℃と前年よりも1.5℃上がってから、だいたい16℃前後で推移するようになり、そのまま安定しているように見えます。

こちらに、富士見、越谷、さいたま、所沢の4地点の平均気温の推移をグラフにしてみました。

近隣のさいたま(さいたま市内の富士見市との境にある、荒川沿いにある観測点)、越谷、所沢については、富士見が平成9年ごろから急に平均気温が高くなった動きを除きますと、全体的な傾向として、埼玉県南部の4地域は、同じような傾向であると思います。
富士見は、かつては越谷やさいたまよりも平均気温は低かったのですが、近年は一番高くなっており、これはふじみ野駅周辺の急速な市街化による局地的なヒートアイランド現象の可能性があると考えています。

当地の気象の他の傾向ですが、前5年平均推移をみると、最低気温値の上昇傾向が顕著です。最低気温は、都市化の影響を受けやすく、東京圏の都市の拡大、ふじみ野駅周辺の都市化ということが大きく影響していると思います。ただ最低気温値は、近年横ばいになっているように見えます。
今回の更新には反映されませんが、今年はかなり低かったと思われます。来年以降どうなるか、注目しています。
また、最高気温値は上昇から高止まりになっています。

これらのことから、富士見市(ふじみ野地域)は高温化傾向(特に冬は温暖傾向)が続いていましたが、このところ温暖化傾向は少し足踏みといえそうです。

湿度については、平均湿度を見ますと、10年位前までは上昇傾向でしたが、その後下がる傾向が見られました。都市化による乾燥化のような印象を受けていたのですが、近年再び上昇する傾向がみられます。

風速は、平均風速が低下傾向で、これは地表に建物が多くなったことが影響していると思います。ただ、最大瞬間風速が小さくなる方向から近年大きくなる傾向に転じていることは少々気になります。
台風が勢力を保ったまま当地に近づきやすくなっている、発達した積乱雲による大雨(いわゆるゲリラ豪雨)にともなう突風が大きくなっている、といったことのように思えます。

総降水量は、増える傾向にあるように見えます。しかし、雨日をみますと、逆に減る傾向が見えます。1日あたりの雨量が増えているわけで、雨が降るときは、雨量が多くなりやすい傾向があるということになります。
発達した積乱雲による大雨(いわゆるゲリラ豪雨)の雨量が増えているということかもしれません。近年の平均湿度の上昇傾向も考えると、まだ結論を出すには早いものの、亜熱帯気候のような方向に向っているのかもしれません。
なお、晴れの日は概ね横ばい、雨の日が減った分、曇りの日が増えている傾向があります。

当地の気象の総論としては、最近の日本の温暖化傾向と同じような動きと、急激な都市化によるヒートアイランド現象が加わり、夏は暑く、冬は暖かく、雨天時の雨量は多くなってきている、といえそうです。

気象災害防止の観点からは、当地では、夏の暑さ、突発的な大雨や強風、といったものにより気をつけていく必要がある気象状況になってきていると思います。

(c)たけたけ 2003_2011

(2011/4/30)